電磁接触器とリレーの違いとは?使い分け・容量・構造を電気設計者向けに徹底解説
公開日: 2026年9月8日
📝 目次 (Table of Contents)
- 1. 電磁接触器とリレーの違い
- 2. そもそもリレーとは?
- 3. 電磁接触器とは?
- 4. なぜ電磁接触器は大きな電流を扱えるのか?
- 5. 接点容量を超えた電流を流すとどうなるか?
- 6. 負荷の種類によって接点への負担が変わる
- 抵抗負荷
- モーター負荷
- 7. リレーでモーターを直接ON/OFFしてもいい?
- 9. 自己保持回路にも電磁接触器が使われる
- 10. リレーには「電磁リレー」と「ソリッドステートリレー」がある
- 電磁リレー
- ソリッドステートリレー(SSR)
- 11. ヒーターにはリレーと電磁接触器のどちらを使う?
- 12. 電磁接触器はインバータの入力側にも使われる
- 13. リレーと電磁接触器の使い分け
- PLCの信号を別の回路へ渡したい
- モーターを直接ON/OFFしたい
- 大容量ヒーターをON/OFFしたい
- 小容量ヒーターをON/OFFしたい
- 電磁弁をON/OFFしたい
- 14. 電磁接触器を選定するときの注意点
- 16. 電磁接触器とリレーは「大きさ」だけで判断してはいけない
- 17. 電磁接触器とリレーの違いを一言でいうと?
- 18. まとめ
制御盤や生産設備の電気設計をしていると、
「電磁接触器とリレーは何が違うの?どう使い分ければいい?」
「リレーでモーターをON/OFFしてもいい?」
と疑問に思うことがあります。
どちらも電気信号によって接点をON/OFFする機器ですが、用途・接点容量・負荷が大きく異なります。
間違った機器を選定すると、
- 接点が溶着する
- リレーが故障する
- モーターやヒーターを正常に制御しない
といったトラブルにつながる可能性があります。
この記事では、電気設計・制御盤設計で使うことを想定して、電磁接触器とリレーの違いを詳しく解説します。
1. 電磁接触器とリレーの違い
まず結論から説明します。
項目 | 電磁接触器 | リレー |
|---|---|---|
主な用途 | モーター・ヒーターなどの大きな負荷 | 制御信号・小容量負荷 |
接点容量 | 大きい (~1000A以上) | 比較的小さい (10A以下が多い) |
開閉頻度 | 通常は、高頻度で開閉できない。(SSRは高頻度で開閉可能) | |
サイズ | 大きい | 小さい |
コイル電力 | 比較的大きい | 小さい |
主回路 | 三相回路など | 制御回路 |
代表的な用途 | モーター、ヒーター | 入出力信号、操作回路 |
簡単に言えば、
リレー=小さな電気信号を切り替える機器
電磁接触器=大きな電力をON/OFFするための機器
と考えると分かりやすいでしょう。
2. そもそもリレーとは?
リレー(Relay)は、電気信号によって接点を切り替える機器です。
基本的な構造は、
- コイル
- 鉄心
- 可動鉄片
- 接点
などから構成されています。

コイルに電圧を加えると電磁力が発生し、その力によって接点が動きます。
その結果、別の回路をON/OFFできます。
3. 電磁接触器とは?
電磁接触器は、英語ではMagnetic Contactorなどと呼ばれます。
基本的な原理はリレーと同じです。

電磁接触器も広い意味では電磁リレーの一種と考えることができます。
ただし、電磁接触器は特に大きな電流を開閉する用途に特化して設計されています。
4. なぜ電磁接触器は大きな電流を扱えるのか?
電磁接触器は、リレーと比較してサイズが大きいのはご存じかと思います。
それも定格電流が増えると本体のサイズ(主に主接点とコイル)はどんどん大きくなります。
※下画像のオレンジ色のような部品が主接点です。

大きな電流を流そうとすると、導電体の体積も大きくなるということですね。
また、大電流の遮断や接続では、アークも大きくなりますので接点を稼働させるコイルも理論上大きくなります。
電磁接触器はオプションで主接点とコイルのサージキラーが選ぶことができ、
アークが発生する前提で設計されていますね。
一方リレーはそのようなオプションはなく、別メーカのスパークキラーを接続することで
アーク対策を行う場合もあります。(そもそも大きなアークが出る使い方をしない。)
5. 接点容量を超えた電流を流すとどうなるか?
例えばリレーの接点が、AC250V 5Aだったとします。
このリレーに20Aの定格電流のモーターをつなげると接点はどうなるか?
接点が焼損し、熔着してしまいます。
また、OFFにしても消弧出来ない(アーク切断)出来ず、火災の可能性もあります。
リレーであっても電磁接触器であっても、負荷電流以上の接点容量を選定しましょう。
6. 負荷の種類によって接点への負担が変わる
例えば、
- 抵抗負荷
- モーター
- ソレノイド
- 電磁弁
- ヒーター
- トランス
- コンデンサ負荷
などがあります。
同じ10Aでも、負荷によって接点への負担は大きく異なります。
抵抗負荷
代表例はヒーターです。比較的接点への負担が小さい負荷です。
モーター負荷
モーターでは始動時に大きな電流が流れます。
そのため、定格電流だけを見てリレーや電磁接触器を選ぶのは危険です。
例えばモーターの定格電流が5Aだからといって、「5A対応のリレーだから大丈夫」とは限りません。
モーターの始動電流や開閉時のアークなどを考慮する必要があります。
物にもよりますが、始動電流はおよそ定格電流の約5倍〜7倍程度流れることに注意しましょう。
7. リレーでモーターを直接ON/OFFしてもいい?
小型モーターなどで、リレーの仕様が負荷条件に適合している場合は可能です。
しかし、FA設備で一般的な三相モーターを直接ON/OFFするのであれば、
基本的には電磁接触器を使用します。
一方、リレーは電磁接触器を制御する側に使用できます。このように、
リレーで電磁接触器を動かすという使い方はよくあります。
9. 自己保持回路にも電磁接触器が使われる
昔から使われている代表的な制御方法が自己保持回路です。
STARTボタンを押すと電磁接触器が動作します。
すると補助接点が閉じて、STARTボタンを離してもコイルに電流が流れ続けます。
STOPボタンを押すと回路が切れて、電磁接触器がOFFになります。
FA設備では非常に基本的な回路です。
10. リレーには「電磁リレー」と「ソリッドステートリレー」がある
リレーという言葉にはいくつか種類があります。
代表的なのが、
電磁リレー
機械的な接点を持つリレーです。
メリットは、
- 絶縁性が高い
- OFF時の漏れ電流が小さい
- AC/DCどちらにも対応しやすい
- 比較的安価
などです。
ソリッドステートリレー(SSR)
半導体を使用して負荷をON/OFFします。
機械的な接点がないため、
- 高速開閉
- 長寿命
- 接点チャタリングがない
などのメリットがあります。
一方、
- OFF時にも漏れ電流がある
- 発熱する
- 放熱が必要になる場合がある
- 短絡故障する場合がある
などの特徴があります。
ヒーター制御ではSSRがよく使用されます。
11. ヒーターにはリレーと電磁接触器のどちらを使う?
ヒーターは基本的に抵抗負荷です。
そのため、容量が小さければリレーでも制御できます。
ただし、ヒーター容量が大きくなると電磁接触器などを使用します。
さらに温度制御で頻繁にON/OFFする場合は、
SSR+ヒーター
という構成もよく使われます。
つまり、
ヒーター制御 | 選択肢 |
小容量・低頻度ON/OFF | リレー |
小容量・高頻度ON/OFF | SSR |
大容量・低頻度ON/OFF | 電磁接触器 |
大容量・高頻度ON/OFF(PID温度制御含む) | SSC |
という考え方ができます。
12. 電磁接触器はインバータの入力側にも使われる
FA設備ではインバータの一次側に電磁接触器を設置することがあります。
モーターの運転・停止を頻繁に電磁接触器で行うためにインバータを使用する
という設計は基本的には避けます。
インバータを使用している場合、通常の運転・停止はインバータの制御入力や通信で行います。
電磁接触器は、
- 非常停止
- 保守時の電源遮断
- 異常時の電源遮断
- 安全回路
など、必要な場面で使用します。
13. リレーと電磁接触器の使い分け
実際の設備設計では、次のように考えると分かりやすいです。
PLCの信号を別の回路へ渡したい
→ リレー
モーターを直接ON/OFFしたい
→ 電磁接触器
大容量ヒーターをON/OFFしたい
→ 電磁接触器 ※高速・高頻度はSSC
小容量ヒーターをON/OFFしたい
→ リレー ※高速・高頻度はSSR
電磁弁をON/OFFしたい
→ リレー(微小電流の場合はPLC出力も可)
ただし、最終的には負荷の電圧・電流・突入電流・開閉頻度などを確認して選定します。
14. 電磁接触器を選定するときの注意点
電磁接触器を選ぶときは、単純に「何Aまで使えるか」だけを見てはいけません。
特に重要なのが使用カテゴリです。
例えば、
- AC-1
- AC-3
- AC-4
などがあります。
これは負荷や使用条件に応じた開閉能力を表しています。
特にモーター用途ではAC-3などの使用カテゴリを確認します。
したがって、
「接点容量20Aだから20Aのモーターに使える」
という選定は危険です。
モーター用途ならモーター容量と使用カテゴリを確認することが重要です。
16. 電磁接触器とリレーは「大きさ」だけで判断してはいけない
よく、
「大きいのが電磁接触器、小さいのがリレー」
と覚える人がいます。
これはイメージとしては間違っていませんが、正確ではありません。
重要なのは、
何Aまで流せるか
だけでもありません。
負荷の種類、開閉頻度、使用カテゴリ、突入電流などを含めて判断する必要があります。
17. 電磁接触器とリレーの違いを一言でいうと?
非常に簡単にまとめると、
リレーは制御信号を切り替えるための機器。
電磁接触器は大きな電力を安全に開閉するための機器。
と考えると分かりやすいでしょう。
ただし、両者の原理は非常に似ています。
どちらも、
コイルに電流を流して電磁力を発生させ、接点を動かす
という基本原理を持っています。
18. まとめ
電磁接触器とリレーは、どちらも電気信号によって接点をON/OFFする機器ですが、主な用途が異なります。
電磁接触器 | リレー | |
主用途 | 大容量負荷 | 制御回路 |
モーター | ◎ | △ |
ヒーター | ◎ | ○ |
PLC信号 | △ | ◎ |
電磁弁 | ○ | ◎ |
大電流 | ◎ | △ |
小信号 | △ | ◎ |
補助接点 | あり | 製品による |
主回路 | 大電力 | 小電力 |
FA設備の設計では、
PLC → リレー → 電磁接触器 → モーター
という組み合わせが非常に基本的な構成になります。
また、ヒーターの温度制御などでは、
PLC → SSR → ヒーター
という構成もよく使われます。
重要なのは、単純に「何Aまで流せるか」だけでなく、
負荷の種類・電圧・電流・突入電流・開閉頻度・使用カテゴリ
を考慮して機器を選定することです。
電磁接触器とリレーの違いを理解すると、制御盤の回路設計や部品選定がかなり分かりやすくなります。