リレーとは?初心者でもわかる「用途」と「使い方」を徹底解説!

公開日: 2025年10月13日

📝 目次 (Table of Contents)

電気設計の学習を始めると、必ず出会う重要な部品、それが「リレー」です。「なんだか難しそう…」と感じるかもしれませんが、実はとてもシンプルで、電気回路の「縁の下の力持ち」のような存在です。

この記事では、電気設計初心者の方に向けて、リレーが回路でどんな役割を果たしているのか、その用途と簡単な使い方を、身近な例を交えてわかりやすく解説します。


1. リレーって何? シンプルな役割を理解する

1-1. リレーの最もシンプルな役割:小さな力で大きな力を動かすスイッチ

リレーを最もシンプルに表現すると、「小さな電気の力で、大きな電気回路のオン/オフを切り替える電磁式のスイッチ」です。

リレーには、主に以下の2つの回路が内蔵されています。

  1. 操作回路(コイル側):操作するための小さな電気(信号)を流す回路。
  2. 主回路(接点側):切り替えたい大きな電気(負荷)が流れる回路。

まるで、「軽い指でスイッチを押すだけで、重いシャッターを電動で開閉させる」ような役割を、電気回路の中で担っているのです。

1-2. リレーの構造と動作原理

リレーは、電磁石(コイル)と接点という2つの主要な部分で構成されています。

部品名

役割

動作のイメージ

コイル(操作回路)

リレーを動作させるための電磁石。

小さな電流が流れると磁石になります。

接点(主回路)

電気をON/OFFする部分(スイッチ)。

コイルが磁石になると、引き寄せられてカチッと切り替わります。

動作の流れ

  1. 操作回路(コイル)に電流を流す。
  2. コイルが電磁石になり、磁力が発生する。
  3. 磁力によって、接点が引き寄せられ、ONの状態に切り替わる。
  4. ONになった接点を介して、**主回路(大きな負荷)**に電気が流れる。
  5. コイルへの電流を止めると、磁力が消えて接点が元の状態に戻る。

この「カチッ」という機械的な切り替え音が、リレーが動いている証拠です。


2. リレーの主な「用途」3選

では、なぜわざわざリレーを使う必要があるのでしょうか? リレーが回路で担う重要な役割を見ていきましょう。

用途①:信号の増幅・大電力の制御(主役の切り替え)

これがリレーの最も基本的な用途です。

  • 問題: マイコンやPLC(制御装置)が出す信号は、電圧も電流も非常に小さい(例:5V、数十mA)。この小さな信号で、工場の大型モーター(例:200V、数十A)を直接動かすことはできません。
  • リレーの役割: PLCの小さな信号をコイルに送り、リレー内部で接点を切り替えることで、主回路に流れる大きな電力を安全にON/OFFします。

用途②:回路の分離・インターフェース(ノイズ対策と保護)

コイル側と接点側が電気的に独立している(分離されている)ことが、リレーの大きなメリットです。

  • 役割: ノイズが多い主回路側と、デリケートな制御回路側を完全に分離することで、ノイズが制御回路に侵入するのを防ぎます。
  • また、万が一主回路側でショートなどの異常が発生しても、制御機器(PLCなど)を保護する「クッション材」としての役割も果たします。

用途③:自己保持回路の実現(動きを記憶させる)

制御回路で頻繁に使われる重要な用途です。

  • 自己保持回路とは: 一度ONになったら、操作したボタンから指を離しても、そのONの状態を保持(キープ)し続ける回路のこと。
  • 役割: 例えば、機械の「スタートボタン」は押している間だけ電気が流れますが、リレーを使うことで、指を離しても機械が動き続けるロジックを実現できます。リレーの接点の一つを、リレー自身のコイルの電源として使うことで、電流が流れ続ける状態を作り出します。
    • (この仕組みが、制御設計の基本的な考え方「シーケンス制御」の核となります。)

3. リレーの種類と簡単な「使い方」

リレーは用途に応じてさまざまな種類があります。ここでは、制御設計でよく使われる2つの主要なリレーを紹介します。

3-1. 汎用リレー(メカニカルリレー)

最も一般的に使われる、電磁石と接点による機械的な動作をするリレーです。

  • 特徴: 比較的安価で、大きな電流を制御できる製品が多いです。
  • 選び方のポイント:
    1. コイル電圧: 制御回路の電圧(例:DC24V)に合わせます。
    2. 接点容量: 制御したい負荷の電流(例:AC100V、5A)に耐えられる容量を選びます。
    3. 接点数: 必要なON/OFFの回路数(例:2回路切り替えるなら2c接点)に合わせて選びます。
  • 使い方:
    • コイルの端子(A1、A2など)に、PLCからの出力信号を接続します。
    • 接点の端子に、ON/OFFしたいモーターやランプなどの電源線を接続します。

3-2. SSR(ソリッドステートリレー)

接点部分に半導体(電子部品)を使ったリレーです。機械的な接点がありません。

  • 特徴:
    • 動作音が無音(カチッという音がない)。
    • 動作寿命が長い(機械的な摩耗がない)。
    • 高速でON/OFFを切り替えられる。
  • デメリット:
    • 汎用リレーに比べると価格が高い
    • 半導体から熱が発生するため、熱対策が必要になる場合がある。
  • 用途: 高速・高頻度のON/OFFが必要なヒーター制御や、静かな環境での使用に適しています。

4. まとめ:リレーは「電気回路の命令を伝えるメッセンジャー」

リレーは、電気設計における基本的な部品であり、最も重要な部品の一つです。

ポイント

解説

役割

小さな操作電力で、大きな負荷電力をON/OFFする電磁式スイッチ

分離

操作回路と主回路が電気的に分離しており、ノイズから制御機器を守る

応用

自己保持など、制御の「ロジック(論理)」を作るために不可欠。

まずは、あなたの身の回りにある機械や制御盤の「カチッ」という音に耳を澄ましてみてください。その裏側で、リレーが確実に命令を伝え、回路を安全に制御しているはずです。